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無縁仏になるとどうなる?無縁仏にならない為の対策を解説します

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無縁仏になるとどうなる?無縁仏にならない為の対策を解説します

無縁仏になるとどうなるの?そんな疑問や不安は誰しも持っているでしょう。

昨今の少子高齢化にともないお墓の継承者問題は深刻になっています。無縁仏になりたくないと思っていても、独身者や高齢者の一人暮らしも増加し、先行きだけでなく死後の心配も尽きません。また核家族化も進み、親戚付き合いのないご家庭も増えてきています。家族間でも地域間でも人とのつながりが希薄になる中、無縁仏になるのではないかと心配になる方もいるでしょう。

そこで本記事では、無縁仏にならない為の対策を解説します。お墓の跡継ぎを心配されている方は、是非参考にしてください。

無縁仏とは?詳しく解説

無縁仏とは親族や親戚がおらず葬儀や供養をする人がいない状況で亡くなり引き取り手のない人や、管理をされなくなったお墓そのもののことです。

近年、さまざまな理由で故人の親族と連絡がとれないことや、社会問題も背景にあります。人間関係の希薄化が進んでいることも、無縁仏が増加している理由のひとつではないでしょうか。お墓は霊園やお寺にあっても、管理費が支払わなければ一定の期間を経た後、無縁仏と判断されて撤去されます。

また、親族がいても引き取ってもらえないこともあり「供養をする時間がない」「故人とは疎遠になっていた」「経済的な余裕がない」などの理由で引き取りを断られる場合も無縁仏として扱われます。

なぜ無縁仏になるのか?

無縁仏になってしまう理由は主に2つあります。それぞれ紹介していきましょう。

無縁仏になってしまう理由

無縁仏になる理由①ご遺体(ご遺骨)の引き取り手がいない

無縁仏になる理由1

親族や血縁者などの身内がおらず、引き取り手がない孤独死した場合です。

単身者や高齢者の一人暮らしの増加にともない、死亡時に身元不明や行き倒れ死といった孤独死や、自殺者の数も増えています。

大規模な自然災害や事故の発生により、身元が判別できなくなってしまったご遺体も無縁仏として扱われることもあります。

近年では身元は分かっていても「関わりたくない」「故人とは疎遠だった」「経済的に難しい」などの理由で引き取りを拒否されるケースです。

高齢者だと痴呆による徘徊先や、若者でも家出先で死亡した時、いずれも家族からの捜索願が提出されていないと身元不明で無縁仏になってしまう場合があります。

無縁仏になる理由②お墓の管理者がいない

少子化や核家族化が進み、その一方で親戚関係が希薄になってきています。

「家族・親族で集まりで話し合う」機会が少なくなっていますが、お墓を任せられる次の世代や、管理費、いない・できない場合はどうするかを決めておきましょう。お墓は管理費が支払わなければ、管理者がいないと判断され撤去されてしまいます。中に収められていた遺骨は無縁仏となり、合祀墓に納骨される流れです。一度合祀墓に納骨されると他の方のご遺骨と混ざってしまうため、ご遺骨を引き取れません。

関連記事:跡継ぎがいないお墓はどうする?対処法や納骨堂の永代供養について解説

もし無縁仏になったらどうなる?

どんなに気を付けていても、突然の不幸は防ぐことができません。万が一無縁仏になってしまった場合の供養や費用、注意点をお伝えします。

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無縁仏になったら合祀される

お墓に納められた状態で無縁仏になった場合はどうなるでしょうか。政府は無縁仏の問題に対処するため、平成11年に「墓地、埋葬などに関する法律施行規則の改訂」を行い、『墓地使用者が一定期間以上管理料を払わず放置した場合、霊園などの墓地管理者は契約を解除し、墓地の整理を行う』という方針を採用しました。墓の管理費が一定期間支払われない場合、その墓に安置されている遺骨は取り出され、別の場所に移されます。

一般的に、無縁仏になった遺骨は無縁仏を祀る施設や無縁墓に合祀されます。ただし、費用は墓地の管理者や自治体が負担します。したがって、遺骨を安置する際には、一部の遺骨を取り出して合祀するか、より細かく砕いて体積を減らした状態で合祀されることがあります。高齢化によって無縁仏の問題が取り上げられ、合祀管理するスペースにも課題が生じています。

他の方の骨と一緒に埋葬されるため誰の遺骨かわからなくなってしまうため、後から申し出ても遺骨は戻ってきません。費用は行政が負担することになりますが、無縁仏の増加によって財政は苦しい状況です。

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無縁死した場合はどうなる

引き取り手がいない無縁死への対応は、法律によって定められています。

身元不明のご遺体は「行旅死亡人」と呼ばれ、所在地の自治体がご遺体を引き取り、その状況や要望、遺留品などの記録をしたうえで葬儀・火葬し埋葬する流れです。

「墓地、埋葬などに関する法律」第9条に定められた通り、地方自治体によって葬儀が行なわれますが、葬儀といっても親族が参列するわけではないので簡素に済ませます。火葬後は一定期間は自治体で管理し、その後、合祀されます。

ただし、近年無縁仏の増加により財政的な問題で保管年数を短縮したり、散骨したりするケースも増えています。

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お墓の継承者がいない場合

お墓は先祖代々継承していくものでした。しかし少子化でお墓の管理や墓参りをしてくれる跡継ぎがいない、管理する経済的な余裕がないなど様々な理由からお墓の継承が途絶えてしまうことも増えてきました。滞納が一定期間以上続いている墓は、その旨を所有者に知らせるため未払いであると官報に掲載したり、お墓の目立つところに立札を設置したりできます。1年間経過しても管理者が名乗り出なかった場合、管理者側の判断で撤去され、お墓から出されたご遺骨は行政が管理する霊園や寺院に合祀されます。

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無縁仏になってしまった時の注意点

一定期間を過ぎてもひきとられなかったご遺骨は合祀、合葬というかたちで供養することがほとんどです。ご遺骨は骨壺から取り出され他人の遺骨とまとめて埋葬されます。

そのため一度合祀してしまうとご遺骨の判別が困難なため、特定の遺骨だけ取り出すことはほぼ不可能です。

後に家族、親族の間でトラブルに発展する場合もあるため、近親者で無縁仏になりそうな故人がいるなら、事前にご遺骨の取り扱いについて話し合っておきましょう。

無縁仏にならないための対策

無縁仏にならないためには事前準備が必要です。ここでは6つの対策をお伝えします。

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墓じまいをする

お墓の管理者や継承者がいないことが分かっているのなら「墓じまい」をしましょう。墓じまいとは今ある墓石を解体・撤去し墓地の使用権を所有者に返還することです。墓地管理者と自治体に申請して行います。かかる費用の相場は、解体費、供養代、離壇代などを合わせて30〜50万円ほどです。墓じまいをした後のご遺骨は合祀墓に埋葬したり、散骨したりする方法がありますが、選んだ内容によってかかる費用には大きな違いがあります。墓じまいをすれば、自分の死後にお墓が放置されることや、継承問題も解決できます。また、その場所を管理者に返却することになるので、管理料を払い続ける必要もなくなります。取り出したご遺骨や自分がなくなった場合の永代供養先や管理方法をご家族と決めておきましょう。

関連記事:墓じまいをしないとどうなる?費用や放置したときのトラブルについて解説

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生前契約をしておく

自分の葬儀、納骨場所、供養方法などを生前に契約しておく方法です。

各葬儀社や霊園、寺院でもさまざまな種類のプランが用意されているので、自身の希望に沿った利用プランを探してみましょう。

また、死後事務委任契約を友人や知人、弁護士と契約する方法もあります。

死後必ず必要になる手続きを代行してもらえるので安心です。

財産を持っている方は遺言書を作っておきます。無縁仏だと財産を残す相手がいないかもしれませんが、もし残す相手がいるならば、死後事務委任契約書とは別に用意しておきましょう。

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合葬墓・合祀墓

お墓にこだわりがなく、費用も抑えたい方には永代供養をしてくれる合祀墓、合葬墓への納骨を生前に申し込んでおく選択肢もあります。ただし、費用は安く抑えられ供養もしてもらえますが、他のご遺骨と同じ場所に埋葬されます。また供養してもらえる回数や期限が限られている場合があるため、契約の際はどのくらいの期間供養できるかを確認しましょう。

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死後事務委任契約

親族や家族に死後のことを頼めないようであれば、死後事務委任契約を検討してみましょう。

死後事務委任契約とは、死後に必要となる手続きや事務処理を、他の第三者へ任せる生前契約のことです。委任契約は弁護士に依頼したり、知人・友人とも結ぶことができます。具体的には下記のような内容です。

・装具や埋葬の手配

・死亡届提出

・相続人や関係者への訃報

・就業している場合の退職手続き

・賃貸物件の退去手続き

・各種保険の喪失手続き

・各種サービスの退会処理

・遺品整理

・各種納税手続き

・その他支払業務(家賃・光熱費・医療費など)

遺産の管理は含まれないため、財産がある場合は成年後見人制度も活用しましょう。また、トラブルを防ぐために、死後事務委任契約は公正証書によって制作します。公正証書の書き方は、専門家である行政書士や弁護士に依頼しましょう。

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自治体のサポートを活用

自治体によっては無縁仏を増やさないために下記のようなサポートを設けているところもあります。お住まいの地域にもあるか調べておきましょう。

・エンディングノートの配布

・自治体が提携する葬儀社との生前契約における仲介や費用の管理

・自治体と葬儀社が連携して、定期的に一人暮らしの高齢者の安否確認サービス

・死後に必要になる情報(緊急連絡先、お墓の所在地、遺言書の保管場所や開示する対象者の指定など)を登録しておくサービス

急に亡くなってしまっても無縁仏になってしまうことがないように、自治体では上記のようなさまざまなサービスを行っています。

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日ごろから周囲の人とコミュニケーションをとる

無縁仏にならないための一番の方法は、日ごろから家族や地域の方など周囲の人とのコミュニケーションをとっていることです。

永代供養の生前契約や死後事務委任契約を行なっていない場合、無縁仏になってしまうことがあります。しかし周囲の人と頻繁にコミュニケーションをとっていれば、「〇〇の〇〇さんだね」と気づいてもらうことができます。また、どんなに事前準備していても、親戚付き合いを疎かにしていたせいで自分の思う葬儀や供養をしてもらえないかもしれません。実際に遺骨の受け取り拒否はない話ではありません。そうならないため、普段から家族や周囲の人とのコミュニケーションを大切にしていきましょう。

遺骨を希望通りに納骨する方法

自分の死後、どのように埋葬されたいかは人それぞれです。代々の家のお墓に入りたい人、家族の墓には入りたくないので納骨堂を選択する人、散骨して自然に還りたい人もいます。自分の希望通りの方法で納骨してもらうためにどうすればよいか紹介します。

遺骨の決定権は誰にあるの?

そもそも遺骨の決定権は誰にあるのか知っていますか?

遺骨は祭祀財産に準ずるため、決定権は祭祀継承者が持っていますが、血縁関係に関わらず、生前に個人が指定することも可能です。

祭祀財産とは、祖先を祀るために必要な財産の総称のことで、下記3つのことを指します。

民法897条「祭祀財産」

・系譜(血縁関係を記載した家系図など)

・祭具(仏壇、仏像、十字架などの祭祀を行う際に使う道具)

・墳墓(遺体や遺骨を埋葬する際に必要な土地や物品)

故人が祭祀継承者を指定した場合、基本的に祭祀継承者が葬儀や法要も対応するためその点も踏まえて決めましょう。なお、納骨の希望は遺言書に書くことが可能です。しかし法的な拘束力はないため祭祀継承者の判断にゆだねられます。

信頼できる人に伝えておく

どんな最後で見送って欲しいのかは家族や友人など信頼できる人に伝えておきましょう。

遺言書が効力を持つのは財産に関すること、身分に関することに限られています。

遺骨の最終的な決定権は祭祀継承者が持っていますが、家族や親戚などと揉めることがないように「こんな供養方法で弔ってしてほしい!」と納骨や供養方法を話し合っておきましょう。

お互いの思いや希望をすり合わせることで、余計なトラブルを回避することができます。

本家や親族の墓に入りたくない場合は?

さまざまな理由で自身の家や親戚のお墓には入りたくない方もいるでしょう。

だからといって自ら望んでも無縁仏になることはできません。無縁仏はあくまでも引き取り手のない、供養をしてくれる人がいない場合のみです。しかし親族のお墓に入らない選択を生前にしておくことは可能です。

他の遺骨とともに埋葬されます。

室内にあるため天候に左右されず参拝できます。ロッカー式、仏壇式、自動搬送式などのタイプがあります。

関連記事:納骨堂に入れるのは何人まで?いっぱいになった時の対処法を種類ごとに解説

自然葬のひとつで海洋散骨、樹木葬、空への散骨、山岳散骨などのさまざまな方法があります。

関連記事:【必見!】樹木葬の実態は?特徴やメリット・デメリット、利用者の声を紹介

これらは生前に手続きを行なうことができます。祭祀継承者に希望を伝えておくと希望通りの供養方法を選択する可能性は高くなるでしょう。しかし「お墓があるのになぜ?」と反発する人もいるでしょう。もし家族の反対があった場合は、勝手に決めず、理解を得られるよう必ず話し合いましょう。

無縁仏にならない為に対策を

今回は無縁仏にならないための対策を解説してきました。

無縁仏にならないことが一番良いのですが、いつ何があるかわからないのが現実です。そのため事前準備は欠かせません。まだ先の話だと思っていても、いつかは皆故人となります。まだ想像もできない人はまずエンディングノートからはじめてみるのも良いかもしれません。書き出しているうちに、自分の思い描く供養方法や納骨方法、葬儀や費用について浮かんできます。少しずつでも書き留めてまとめておけば、何かあったとき役立つでしょう。

日本は今少子高齢化社会です。出生率の低下や未婚率の上昇などにより、無縁仏は増え続けています。無縁仏になるのは高齢者だけではなく、外国人労働者や家出した人、自殺者などもいて、年々その数は増加しています。生涯独身で過ごす単身者が増え、核家族化も進んだことで家族や親族付き合いも減ってきている中、地域やご近所のとの関係も希薄になり、活発とは言えないところが多いのではないでしょうか。

無縁仏にならないためには事前の準備も大切ですが、何より周囲の人とのコミュニケーションを積極的に取ることが大切です。コミュニケーションを積極的にとることで、相手への理解が深まり、結果として家族の絆が強化されていきます。また、日ごろから話し合っておけば希望の納骨方法になる可能性が高くなります。また生前に希望する埋葬場所はや納骨場所への手続きを済ませておけば、残された家族や親族にとっても負担を減らすことができるでしょう。

少しでも「無縁仏になるかも」と感じるならば、自身で対策をしなければなりません。事前に永代供養や墓じまいの準備を進めておきましょう。

元気でいられるうちに、いつか来る将来を見据えてお墓をどうするのか考えてみてはいかがでしょうか。

関連記事:墓じまいして永代供養墓にしたときお布施は必要?相場とマナーについて

関連記事:改葬の手順は?墓じまいのメリットや費用・相場について徹底解説


監修者

海庵

僧侶でもあり、何度でもお墓の引っ越しができる「納骨堂転葬サービス」の会社、株式会社徳禅庵代表の海庵誠二です。お墓や終活、遺産整理に関するお役立ち情報を発信しております。


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