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遺産相続の手続きをしないとどうなる?期限やリスクについて詳しく解説

遺産相続・遺産整理
遺産相続の手続きをしないとどうなる?期限やリスクについて詳しく解説

遺産相続は、一生のうちに何度もすることではありませんし、内容が難しいものでもあるため、避けたくなるものです。

「遺産相続って期限はあるの?」

「遺産相続ってする必要あるの?何をすべき?」

などと思われる方に向けて、本記事では遺産相続の手続きの種類や流れ、手続きを行わないことで生じるデメリットについて詳しく解説します。ぜひ、最後までご覧ください。

遺産相続手続きには期限がある

遺産相続手続きとは、遺産を相続する際に必要な法的手続きのことですが、その手続きには期限が設けられています。遺産相続手続きを行う際には、その期限を守ることが重要です。期限を過ぎると、さまざまなデメリットが生じてしまいます。具体的なデメリットについては後ほど解説します。

また、遺産相続の手続きには複数の種類があります。その期限については、一般的には相続人が遺産を受け取った日から数ヶ月〜数年間となります。遺産相続手続きの期限は、相続人が遺産を受け取った時点から始まりますので、期限をきちんと理解した上で、期間内に相続手続きを行わなければなりません。

実際に遺産相続の手続きを行う時に、先延ばしにして期限の末頃に手続きを行うと、思わぬトラブルや手続きミスによって期限内に間に合わないというケースも少なくありません。遺産相続の手続きは、想定した以上に時間がかかってしまう場合も多くあります。後ほど詳しく解説していきますが、どの手続きを行う場合にも、時効などの期限に合うように余裕を持って手続きや準備を進めていくことが重要です。相続に関するトラブルやデメリットを避けるためにも、家族や専門家ときちんと話し合った上で計画的に遺産相続の手続きを進めていきましょう。

相続放棄とはどのようなものなのか?

相続放棄とは、相続人が故人からの相続財産を受け取る権利を放棄する法的手続きのことです。これは、相続人が相続を望まない場合や相続財産の管理やマイナスの資産による金銭的な負担を避けるために行われます。相続放棄を行うことで、相続人は故人の遺したプラスの資産もマイナスの資産も全て相続を放棄することができます。つまり、相続財産に関連する権利や義務を放棄することになります。

相続放棄は、法律に基づいて行われる手続きであり、一定の条件を満たすことが必要です。一般的に相続放棄の手続きは相続開始後に行われますが、相続開始前に行うこともできます。ただし、相続の開始を知った後は、一定の期限内に相続放棄の手続きを行わなければなりません。

手続きとしては、相続人が相続放棄の申述書を家庭裁判所に提出することで行われます。この申述書には、相続人の基本情報や相続財産に関する情報、そして相続放棄の意思が記載されます。提出された申述書は、家庭裁判所が審査し、承認されると相続放棄の効力が発生します。

相続放棄をすると、相続人は法定相続分の財産を受け取ることができませんが、代わりに、相続財産に関連する債務や責任も負う必要がなくなります。例えば、相続財産に対する債務や借金、税金などを支払わなくて良いのです。ただし、相続放棄は一度行うと取り消すことができないため、慎重に検討しましょう。

また、相続放棄をするには、相続を開始を認知してから3ヶ月以内に家庭裁判所へ「相続放棄申述書」を提出しなければなりません。

遺産相続手続きしないと生じるデメリット

デメリット相続手続きをしないことで、多くのデメリットが発生する可能性があります。ここでは、相続手続きをしないことで起こる7つのデメリットについて以下の順に解説します。

ポイント
・土地や建物などの不動産の相続権利を失う、過料が課される
・相続放棄・限定承認ができなくなる
・遺留分侵害額の請求ができなくなる
・税金の軽減制度が利用できない
・相続税の追徴課税がかかる
・相続人の状況によって手続きが変わる可能性がある
・預金の権利を失う

土地や建物などの不動産の相続権利を失う・過料が課される

土地や建物などの不動産の相続登記を放置する事で、相続人は土地や建物などの不動産の相続権利を失うだけでなく、過料を課される可能性もあります。そうなってしまうと、不動産を売却したり、抵当権を設定することができず、本来相続すべき不動産の持分が勝手に売却されてしまう危険性もあります。

場合によっては、放置された不動産は第三者によって登記される可能性もあり、その結果、相続人は不動産を失うことになります。また、相続登記は法律上、3年以内に行わなければならず、期限を過ぎると過料が課されることもあります。

具体的には、相続登記を行わず放置したままにしておくと、不動産が相続人の意図を無視して第三者に登記される可能性があります。これにより、相続人が承継すべき不動産を失うことになるため、財産が不当に取得されるリスクが生じます。

また、相続登記を怠ることで、不動産の所有者が不明確な状態となり、法的なトラブルが起こる可能性もあります。さらに、不動産を売却したり、賃貸に出したりすることが困難になるため、相続財産の価値が低下する可能性があり、相続人が財産を有効に活用できなくなってしまうのです。

このように、相続登記の放置は相続人にとって大きなリスクにつながる可能性があるため、適切な手続きを早めに行うことが重要です。

相続放棄・限定承認ができなくなる

相続放棄・限定承認ができなくなるということは、相続手続きにおいて重大な影響を及ぼす可能性があります。相続放棄や限定承認については先ほども解説しましたが、相続人が相続財産を受け取らないことや、一部の財産のみを受け取ることを選択するための手続きです。

しかし、これらの手続きを行わないと、自動的に単純承認となり、すべての財産を相続することになります。例えば、多額の債務や負債を抱えている場合、相続放棄や限定承認を行わないと、相続人はその債務や負債も全てを相続することになります。また、後々、特定の財産だけを受け取りたい場合でも、それを選択する権利を失う可能性が出てくるのです。

このように、相続放棄や限定承認を行わないことで、相続人が望まない財産や負債を相続するリスクが発生します。したがって、相続手続きを進める際には、適切な判断を行い、相続放棄や限定承認を検討することが重要です。相続放棄や限定承認を行うかどうかの判断は、相続人の財産状況や家族関係、将来の生活計画などを考慮したうえで、しっかりと判断をしなければなりません。

遺留分侵害額の請求ができなくなる

遺留分侵害額の請求は、相続人が遺留分の侵害を受けた場合に行う手続きであり、特定の相続人によって相続財産が不当に奪われたり、遺留分を支払われなかったりした際に、その相続人が損害を回復するための手続きです。

この請求は、侵害を認知した日から1年以内、あるいは認知していない場合でも相続開始から10年以内に行わなければなりません。

具体的な例として、遺言書によって特定の相続人に全ての財産が相続されることが記されていたとします。しかし、これが遺留分の法定割合を超える場合、他の相続人はその遺留分侵害を主張し、請求する権利があります。それによって、他の相続人も決められた範囲内で財産を受け取ることができるのです。

もし、遺留分侵害額の請求を行わなかった場合、遺言書の通りに特定の相続人が財産を独占することになり、他の相続人は正当な遺留分を受け取れなくなります。

したがって、遺留分侵害額の請求は、相続人が正当な権利を守るために重要な手段となるのです。

税金の軽減制度が利用できない

相続税の申告ができる期限は10ヶ月以内ですが、この期限を過ぎると税金の軽減制度を利用できなくなります。軽減制度には、相続財産の一部を対象外にしたり、税率を軽減したりする制度があります。具体的には以下のようなものがあります。

小規模宅地の特例では、相続される宅地のうち、一定の条件を満たすものに対して評価額を減額して相続税を計算します。住宅用地の場合、最大で330平米までが対象となり、最大で80%減額できる可能性があります。

配偶者の税額軽減制度では、配偶者に相続があった場合、一定の条件を満たすものに対して、最大1億6千万円までの相続財産が課税の対象外になる制度です。また、これを超える部分についても、相続税の税率が軽減されることがあります。

農地等の納税猶予の特例では、農業を営んでいる人から農地を相続した人が、跡を継いで農業を営む場合、相続した農業地の価格のうち、農業投資価格を超える部分に対応する相続税額の納税が猶予される制度です。

農業投資価格とは、国税局長が計算した農業の収入に見合った農地の価格のことです。これは毎年更新されています。この制度によって、農業を継続するための負担を軽減できます。

これらの軽減制度を利用することで、相続税の負担を軽減し、相続人の経済的負担の軽減につながります。しかし、制度を適用するためには、先ほどお伝えした申告期限内に正確な手続きを行うことが重要になりますので、しっかりと準備をしておくようにしましょう。

相続税の追徴課税がかかる

遺産を相続する場合、相続人には相続税がかかります。相続税の支払いにも期限が存在しており、相続税の申告期限を過ぎると、追徴課税が課されてしまうのです。

追徴課税には、延滞税や加算税が含まれます。延滞税は、相続税の支払期限を過ぎた場合に課される罰金であり、税率は原則として「期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは、年7.3%」「期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降は、年14.6%」です。

例えば、相続税の申告期限が10月1日だった場合、10月2日から12月1日までの間に相続税の申告と支払いが行われなかった場合、年7.3%の延滞税が課されます。12月2日以降、申告や支払いがなされない場合は、年14.6%の延滞税が課されるのです。

加算税は、申告が遅れることによって課されます。その場合「重加算税(無申告)」に該当し、原則40%の税率が課されます。ただし、申告が遅れていない場合でも、過小に申告をしていた場合「重加算税(過少申告)」に該当します。

例えば、相続税の申告期限が10月1日だとします。この期限を過ぎても相続税の申告が行われず、税務署からの督促も無視した場合、延滞税の他に、40%の税率で重加算税(無申告)が課されます。重加算税(過少申告)の例として、よく挙げられるのが、不動産の評価額を実際よりも低く申告したというケースです。例えば、不動産の公正評価額が1億円だとしても、相続人が1億円未満の金額で申告した場合、その差額に対して40%の税率で重加算税(過少申告)が課されます。

このように、相続税の申告を期限内に行わない場合、追徴課税が課されてしまいます。期限内に正確な申告を行うために、準備をしておくことが重要になるのです。

相続人の状況によって手続きが変わる可能性がある

相続手続きを行わない期間が長ければ長いほど、手続き内容などが変わる恐れがあります。例えば、相続する財産が放置されたままだと、相続人の中に亡くなってしまう人や認知症を発症し、判断ができなくなってしまう人が現れる可能性があります。このような状況になってしまうと、相続人の数や権利が変わり、相続の手続きがさらに複雑化します。具体的には、相続人の一部が亡くなったり認知症になったりした場合、その後の相続手続きにおいて遺産分割や権利の行使に関する問題が発生します。

例えば、父親が亡くなり、遺産相続が発生したとします。相続人は父親の妻である母親と、子供たちという状況です。しかし、母親が相続手続きの途中で亡くなってしまった場合、母親の相続分はどうなるかが問題となります。また、もしも相続人が認知症を発症し、判断能力が低下した場合、その人の相続分の管理や意思決定をするために、特別代理人を選定し、介入しなければなりません。このような状況になることで、相続手続きが複雑化し、トラブルになるリスクが高まるのです。

また、時間が経過することで相続財産の価値が変動する可能性もあります。例えば、放置された不動産が老朽化して価値が低下したり、相続財産に関連する負債が増加するなどのリスクが発生します。

このような問題を避けるためには、早めに相続手続きを行うべきでしょう。

預金の権利を失う

相続手続きを行わないことで、預金などの相続財産に関する所有権や管理権が誰のものか不明確な状態になります。所有者が不明確な場合、預金機関が預金の凍結を行う可能性もあるのです。凍結されてしまうと引き出しや取引をすることができなくなります。

例えば、父親が亡くなり、その父親の預金口座に預金が残っていたとします。しかし、相続手続きを行わずに放置してしまった場合、誰がその預金の所有者であり、管理者なのかが不明確なままです。このような状況になった場合、預金機関は法的責任を果たすために預金の凍結を行う可能性があります。凍結されてしまうと、相続人たちは、預金の引き出しや取引ができなくなります。結果として、相続財産である預金の権利を失うことになるのです。

そうならないためにも、早めに相続手続きを行うのが良いでしょう。

相続手続きの種類と期限について

相続手続きにはいくつかの種類があります。また、手続きごとに期限が決まっており、期限を過ぎてしまうことで、手続きができなくなる場合や、追徴課税が課せられる場合があります。ここでは、7つの相続手続きについてや、それに伴う期限について解説します。

ポイント
・限定承認
・準確定申告
・相続税の申告
・遺留分侵害額の請求
・死亡保険金の請求
・相続回復請求権
・相続登記

限定承認

限定承認とは、プラスの資産とマイナスの資産に関して全てを把握できない時に、プラスの資産の範囲内でマイナスの資産を相続することです。

例えば、プラスの資産が100万円、マイナスの資産が300万円だった場合、限定承認をすることでマイナスの資産は100万円までの相続となります。

プラスの資産以上のマイナスの資産を相続しなくて良いという点を見ると、とても良い制度かと思われますが、実務上はほとんど利用されていません。理由としては、非常に複雑な制度となっていることや、時間がかかることが挙げられます。

相続放棄と同じく、限定承認も期限は3ヶ月以内となっており、家庭裁判所に「限定承認の申述書」などの提出をしなければなりません。

準確定申告

準確定申告とは、亡くなられた方の生前の所得に対する確定申告を代わりに行うことです。準確定申告は、相続した時に必ず行わなければならないというわけではありません。以下のケースのような場合に必要になります。

例

・故人が個人事業主をしていた

・亡くなった年に退職をしており退職金を受け取っている

・複数の所得をもらっていた

・不動産での家賃収入や、売却による収入があった

そのほかにも準確定申告を行わなければならないケースがあるので、相続をする際には、ご自身が対象となっているのかきちんと確認をしておくのが良いでしょう。

また、準確定申告の期限は相続の開始を認知してから4ヶ月以内となっており、故人の住んでいた場所を管轄する税務署に対して、準確定申告書を提出をしなければなりません。

相続税の申告

相続税の申告とは、被相続人が亡くなった方の遺産に対する相続税を国に納めるための申告のことです。ただし、相続税には基礎控除という制度があり、遺産の総額が基礎控除額を下回る場合に関しては、相続税の申告をする必要はありません。基礎控除額の計算については以下の計算となります。

例

3,000万円+600万円×法定相続人数

遺産の総額が基礎控除額を超える場合は、相続の開始を認知してから10ヶ月以内に故人の住んでいた場所を管轄する税務署に対して、相続税の申告書を提出をしなければなりません。

遺留分侵害額の請求

遺留分侵害額の請求とは、相続人が保障される最低限の相続分が侵害された時に、その相続分を取り戻すための手続きのことです。前文で記載した相続分のことを遺留分と呼びます。また、この相続人には、親・祖父母などの直系尊属や、配偶者・子供などの直系卑属が該当するため、叔父・叔母・配偶者の親・兄弟姉妹は含まれません。

遺留分侵害額の請求は、遺産の相続が不公平に行われた時に、相続人が権利を守るための制度です。期限としては、遺留分の侵害を認知してから1年以内、認知していない場合でも相続開始から10年以内となります。

死亡保険金の請求

死亡保険金の請求とは、言葉の通り、亡くなった際に契約に基づいて支払われる死亡保険金を、保険会社に申請する手続きのことです。

死亡保険金の請求は、亡くなってから3年以内に保険会社に請求を行わなければなりません。ただし、期限が過ぎても請求できる可能性もありますので、保険会社に問い合わせて確認すると良いでしょう。

相続回復請求権

相続回復請求権とは、法的に相続人ではない人が不当に相続財産を占有し、本来の相続人が受け取る相続財産を侵害していた場合に、その侵害を排除して、相続財産の回復を請求する権利のことです。

相続回復請求権は、遺産相続において法律で保護されている家族や相続人が、不当な贈与や売買、その他の不当な取引によって遺産が減少した場合に利用されます。

相続回復請求権は、相続権を侵害されたことを認知してから5年以内、もしくは、相続が発生してから20年以内に請求しなければなりません。

相続登記

相続登記とは、相続人が相続した土地や建物の所有権の名義を法的に確定させる手続きのことです。法改正によって2024年4月1日から相続登記が義務化されており、法務局で手続きを行います。

相続登記の期限は、3年以内となっているため、相続人になった場合は必ず相続登記を行うということを覚えておきましょう。また、3年以内に名義変更しない場合、過料が課される場合がありますのでご注意ください。

相続手続きの期限は延長できるのか

相続の手続きの中でも、相続放棄・限定承認のどちらを選択するか考える期間が必要かと思います。そのため、選択する期限の延長ができる場合があります。ここでは、実際に延長できるケースについて紹介します。

チェック

相続財産の詳細な調査が必要なケース

相続財産が各地にあることや、借金の借り入れた先や金額などが多く分かれていることなど、内容や状況が複雑で、詳細な調査が必要な場合があります。そのような場合、期限を延長できる可能性があります。

チェック

家族間の協議や合意が必要なケース

相続財産の配分や処理の方法について、家族間での協議や合意が必要な場合があります。その際に、相続人の人数や相続財産が多いことで、配分の内容や金額など合意を得ることが難しい場合、合意を得るための時間確保として期限を延長できる可能性があります。

チェック

法的手続きが複雑なケース

相続放棄や限定承認の手続きが複雑で、専門家の助言や裁判所の判断を待つ必要がある場合があります。例えば、相続財産について法廷で争いがあることや、法律上の問題が生じている場合などがあります。そういった場合にも期限を延長できる可能性があります。

チェック

遺産分割協議書の作成に時間がかかるケース

相続人間の合意を記した遺産分割協議書を作成するために、専門家の助言や相談が必要なことがあります。その準備に時間がかかる場合、期限を延長できる可能性があります。

これらのケースに該当する場合、裁判所や関係機関に申し立てを行い、期限の延長を求めることができます。ただし、3ヶ月以内に申し立てをする必要があることや、期限延長の申し立てが実際にできるかどうかは、具体的な事情や関係法令によって異なりますので、専門家の助言を受けると良いでしょう。

相続放棄や限定承認の選択は、簡単に決定できるものではないでしょう。そのため、状況に応じて期限の延長ができる可能性もありますので覚えておきましょう。ただし、基本的には期間内に手続きを終わらせておくのが良いので延長しないに越したことはありません。

遺産手続き|相続人が未成年の場合

相続人が未成年の場合、通常の相続ではなく、特別代理人を選定しなけばなりません。特別代理人が関係してくる部分は、以下のような内容です。

財産管理の制限

未成年者は法的に財産を管理できません。そのため、特別代理人を選定せず相続した場合、財産の管理や取引を行うことができません。相続人が未成年の場合、特別代理人を選定し財産の管理をしてもらうようにしましょう。

財産利用の制限

未成年の相続人が相続した財産の利用にも制限があります。特別代理人の許可が必要な場合があり、財産の利用や売却に制限がかかることがあります。

監督機関の介入

未成年の相続人の利益を保護するため、家庭裁判所や児童福祉機関などの監督機関が介入する場合があります。財産の利用や処分について厳格な監視が行われることがあります。

財産の放棄や処分

未成年の相続人が相続財産を管理できない場合、家庭裁判所の判断により、財産の放棄や処分が行われることがあります。これにより、相続財産が減少したり、財産の価値が損なわれる可能性があります。

未成年の相続人がいる場合は、特に内容が難しくなります。そのため、特別代理人の選任や相続財産の管理方法について、家庭裁判所や専門家の助言を受けると良いでしょう。

遺産手続き|相続人が認知症の場合

相続人が認知症の場合も、通常の相続ではなく、特別代理人を選定しなけばなりません。特別代理人が関係してくる部分は、以下のような内容です。

財産管理の困難

認知症の相続人が財産を管理することは困難です。認知症の進行により、財産の適切な管理が困難になる場合が多くあります。そこで、特別代理人を選定しておくことで、代わりに財産の管理をしてもらうことができます。

財産の不当取引

認知症の相続人が意思決定能力を失った場合、不当な取引が行われる可能性があります。これにより、相続財産が不当に売られてしまったり、財産が減少する可能性があります。これについても、特別代理人を選定しておくことで任せることができます。

財産の遺失

認知症の相続人が財産を管理できなくなると、財産の遺失や管理の混乱が生じる可能性があります。事前に特別代理人を選定しておくことでそういったリスクの低減につながります。

監督機関の介入

認知症の相続人の利益を保護するため、家庭裁判所や成年後見制度などの監督機関が介入する場合があります。これにより、財産の管理や取引について厳格な監視が行われることがあります。

認知症の相続人がいる場合も未成年の相続人と同様、難しい内容です。適切な法的手続きや後見制度の利用など、財産の適切な管理方法について慎重に検討しましょう。

期限内の適切な遺産相続の手続きが重要です

本記事では、遺産相続の手続きの種類や、手続きをしなかった場合のデメリット、相続人のさまざまなケースについてまとめて解説しました。

相続人になった際には、不動産や預金、相続税などさまざまな相続手続きが必要です。きちんと手続きを行わないことで多くのリスクが発生します。また、手続きごとに期間が設けられているため、自分だけで行うことは容易ではありません。事前準備や書類作成、費用の計算などは弁護士や司法書士、税理士などの専門家に相談した行った上で、共同で進めていくことが大切です。

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監修者

海庵

僧侶でもあり、何度でもお墓の引っ越しができる「納骨堂転葬サービス」の会社、株式会社徳禅庵代表の海庵誠二です。お墓や終活、遺産整理に関するお役立ち情報を発信しております。


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